べっさんのニュージーランド自転車旅行記

ニュージーランド走ってきました

DAY 28「南へ」

3/20  DAY 28  from Lower Hutt to Blenheim

 今日は異例の早起きだ。5時に起床し、飯を食って急いで荷物をまとめにかかる。フェリー(55)が8時に出るのだが、その45分前にはチェックインしなければならないのだ。Wellingtonまではあと10kmはある。途中にmotor wayがあるし、フェリーのターミナルまでの道もややこしそうだ。余裕をもって6時に出発する。

 Wellingtonまでのmotor wayは隣に自転車道が整備されていたので、この問題は解決した。自転車道は道路と、電車の線路に挟まれていて、アルミニウムのボディにLEDのヘッドライトを光らせた3両編成の電車が、時折カタンカタンと音を響かせて通り過ぎる。貨物列車の機関車がたてる重厚な音とは違う軽快な音に、日本の鉄道を思い出し、ふと郷愁の念がこみ上げる。まあ、そうはいってもこの旅も残り1週間なのであるが。

 WellingtonのCity Centreの手前で少し迷ったが、7時前にBlue Bridge Ferry(ブルーブリッジ・フェリー)の建物に何とかたどり着いた。ロビーには、修学旅行だろうか、中高生くらいの女の子が大勢いて、ざわざわとしている。料金は63ドルだった。少し高いが、泳いで渡るわけにもいかないので、まあ仕方のない出費である。

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フェリーの待合室にて

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Wellington

 先に車が入った後に続いてフェリーに乗り込む。思えばフェリーに乗るなど何年ぶりのことであろうか。まるで船全体が1つの建物のようにそびえたち、これが動くとは今のところ想像しがたい。中にはラウンジ、サイレントルーム、ムービールームなどがあり、ゆったりとくつろげそうである。とりあえず、デッキに出て、Wellingtonの町を目に焼き付けておく。時間があればCity Centreにも行きたかったなあなどと思っているうちに出航の時刻である。大きな船はその見かけとは裏腹に、水の上をすべるように動き出す。Wellingtonの町が遠ざかり、外洋に出るにつれて風が冷たくなってきたので中に戻る。おっと、ラウンジは人でいっぱいだ。ラウンジの座り心地のよさそうなソファをひそかに狙っていたのだが。仕方なくムービールームに移動。今日は何も上映しないようで、人もまばらで、座席にはリクライニングがある。座るとなかなか居心地が良く、外海に出た船のゆったりとした揺れもあって、いつしか眠りに落ちていた。かなりの時間眠っていたようで、目を覚まし、ふと窓の外に目をやると、船は複雑に入り組んだ入江をゆっくりと進んでいた。じきにPicton(ピクトン)に着く様子である。

 船を降りると、そこは南島の玄関口、Pictonの町である。Pictonは港町で、フェリーが発着するふ頭のすぐ隣にある海辺の公園はまるで絵に描いたように美しい。そういえばまだ昼飯を食っていない。今日は南に渡った特別な日ということで、ずっと食べる機会を逃していたFish & Chips(フィッシュ・アンド・チップス)(56)を食べることにした。この町一番とうたうお店で注文し、アーケードのベンチで食す。いつも朝、昼、晩とほとんど同じものを食べていただけに、うまいうまいとものすごい勢いで平らげてしまった。

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Picton

 さて、腹ごしらえも済んだので、今日の目的地Blenheim(ブレナム)までSH1(ステイト・ハイウエイ・1)(57)を飛ばす。道は最初の1kmほどが登りだったが、後は平坦で楽な道のりであった。町に入る手前の川で体を洗った後(水はかなり冷たかった)、Blenheimの町に入る。Blenheimはきれいな町で、白い立派な時計塔が時間を知らせてくれる。Countdownで食料を調達して寝場所を探す。町の真ん中を流れる小川のほとりに決めた。小川は、それほど川幅はそれほどないが、水量が豊富で、水は透き通り、川底に緑色の水草が揺れているのが、美しい。川辺のウォーキングロードでは、すれ違う皆が挨拶をかわし、良い雰囲気である。と、ここまではよかったのだが、飯を食う準備をするときに、ご飯を炊く時間を見ようと腕時計を見ようと左手をみると、なんと時計がない。さては先ほどの川辺で外した時に置き忘れてきたか。いや、あの時はつけたはずだ。Countdownの前で日焼け止めを塗った時か。いや、違う。どこで失くしたか、はっきり覚えていない。もし川辺だとすると、10kmも戻らなければならない。このさきの行程に余裕はないので、戻るのはほぼ不可能である。仕方ない、明日Countdownの前だけでも見てみよう。決して高くはないが、思い入れのある時計であるだけに、僕のテンションはかなり下がっている。

 時計のことはいったん忘れることにして、明日から4日間のgravel roadに備えて、しっかり元気を蓄え、テントに入って寝た。

   走行距離: 49km 計: 1526km

 

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Blenheim の時計台

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町の中を流れる川

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入江を行く

脚注

(55)フェリー:North IslandとSouth Islandを隔てるCook Strait(クック海峡)を横断するフェリーはBlue Bridge Ferry(ブルーブリッジフェリー)とInterislander(インターアイランダー)の2社がある。どちらもWellingtonとPictonを結び、料金もさほどの差はない。

 

(56)Fish & Chips:NZは英国系の開拓地ということもあってその文化が引き継がれているため、Fish & Chipsの店がよく見受けられる。後、意外であるのが、Sushi Bar(スシ・バー)と呼ばれる寿司レストランが多いことである。

 

(57)State Highway:いわば国道である。場所にもよるが、特に主要な町を結ぶSHは交通量が多く、あまり自転車通行には向かない。しかし、ほかに道がなく、通らざるを得ないことも多い。

 

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