べっさんのニュージーランド自転車旅行記

ニュージーランド走ってきました

DAY 29「アワテレ渓谷」

3/21  DAY 29  from Blenheim to Awatere Valley

 South Islandに渡り、一層朝の冷え込みが厳しくなってきたように感じられる。それでも太陽が昇ると気温は一気に上がり活動しやすくなるので、まるで自分が爬虫類か何かになった気分である。3日くらい前から、朝の出発前にラジオ体操の第1と第2をするのにはまっている。1日の運動が自転車をこぐだけ、しかも長距離ともなれば、トランスフォームしそうな勢いで体のバランスが悪くなるのを危惧してのことだったが、このルーティンを挟むだけで、なかなか気持ちいいスタートが切れる。

 昨日行ったCountdownに戻ってまず腕時計を探す。やっぱり見つからない。もうあきらめよう。3、4日分の食料を購入。ビニール袋3つ分の量だが、パニアバッグのいろんなところに頑張って詰込み、出発。実は、昨日の夕方あたりから、旅の間中あれだけ重宝していたGoogle Mapが使えない。通信に制限がかかったか。Christchurchの近郊までは道が単純なので行けそうだがそこから先で迷いそうだ。SH1までマウンテンバイクのおじいちゃんに案内をしてもらう。Kaikoura(カイクラ)まで続くSH1は一時開通したという情報を得ていたが、また通行止めになっているらしい。そのため、SH1はどこぞの田舎道かというぐらいガラガラにすいていた。これは今までSHで何度も怖い思いをしてきた僕にとってはとても助かる。

f:id:bessan:20190101182624j:plain

日本の梨が売っていた

f:id:bessan:20190101182804j:plain

買い物中に子供に与える果物が置かれてい る

 南に渡ってから、牧場や牧草地は減り、代わりにワインのブドウ畑が圧倒的に多くなった。しばらく平坦を走ると、少し大きめの丘があり、久しぶりの本格的な登りに足が悲鳴を上げる。汗だくになって登り切って、坂を下ると大きな平野が目の前に開けた。遠くにはNorth Islandでは見かけなかった、標高の高そうな山々が連なっている。

 25kmほど行ったところで、Awatere Valley(アワテレ渓谷)を抜けてHanmer Springs(ハヌマー・スプリングス)に続く合計182kmの道(58)に入る。「この先182kmガソリンスタンドなし」とか、「Road Open/Closed」の標識があるあたり、なかなかの過酷な道と思ってまず間違いない。ここを、今日を含め4日で切り抜けなければならないのだ。気が引き締まる。

 地図を見た様子から勝手に山中の川沿いの道を想像していたのだが実際は少し違った。山は確かにあるが、その間は大きく離れており、平野のようになっている。そしてその平野部も川の流れによってさらに削られて、グランドキャニオンのような崖を形成しているのだ。道はその崖の上を行ったかと思えば、急に下って谷底の川沿いを走ったりとアップダウンがずいぶん忙しい。崖の上はブドウ畑になっていて、鳥よけのためか時折、模擬の銃声音が聞こえる。かなりびっくりする音量である。

 道は最初の15km程は舗装であったが、そこからgravel roadに変わった。かと思えばまた舗装に戻ったりする。どうやら勾配のきついところだけに最小限の道路舗装を行っているようだ。途中で昼飯を食ったが、sandflyの猛攻を久しぶりに受けた。南のsandflyは大きさが倍近くあり、しかもかまれるとかなりかゆい。これは厄介だ。

f:id:bessan:20190101182945j:plain

一面に広がるブドウ畑

 この先3日間はいつもと違い、あの町までといったような具体的な目的地がない。1日50kmこいだら適当な場所を見つけて寝る。牧場のそばのユーカリの木の下に自転車を止め、川で水浴びをする。それは川というよりもむしろ沢と言うべきもので、水は氷のように冷たく、全身浸かることなど到底できたものではない。ひざ下まで頑張って入り、上半身に恐る恐る水をかけるのだ。

 そして、再びsandflyの猛攻を受けながらなんとか飯を作り、テント内に避難して食う。これはなかなかストレスフルだ。だが、Christchurchにたどり着くにはこの4日間を乗り切らなければならない。明日も頑張ろうと自分に言い聞かせ、テントに入って寝た。

   走行距離: 55km 計: 1580km

 

f:id:bessan:20190101183056j:plain

脚注

(58)アワテレ渓谷:この先の地はMolesworth Station(モールスワース・ステーション)と呼ばれ、その昔、この地で農業を営むためにに開拓された歴史がある。

 

FORWARD

bessanridingworld.hatenablog.com

BACK

bessanridingworld.hatenablog.com