べっさんのニュージーランド自転車旅行記

ニュージーランド走ってきました

DAY 22「非日常な日常」

3/14  DAY 22  from Porangahau to Pongaroa

 最近1日50kmペースが染みついてきたのだが、それに伴って、目的地への到着時刻がお昼より前になって、午後がひどく暇である。そこで、今日から出発を少し遅らせることにした。朝は7時に起床。今朝も冷え込みが激しい。普通に寒い。だらだらと飯を食い、だらだらと準備をする。異国の地で3週間も同じことを毎日繰り返していると、いつしか普段の生活を忘れてしまいそうだ。このだるさはそういった日常のだるさである。

 9時半に出発。交通量は相変わらず少ないが(30分に1台車が来るぐらい)、昨日と異なるのは、少しきつめの丘が連続してやってくることだ。おまけに逆風も加算されてめんどくさい状況だ。こういう時はペースを落として気長にこぐのが良い。

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世界で 1 番長い地名とは

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長い…

 走り始めてすぐ、ドイツから来たという若い夫婦と出会った。新婚自転車旅行だろうか。彼らによると、このだらだらとしたアップダウンはこの先しばらく続くという。朝の会話はまだ頭が起きていないのであまり弾まない。お互いの道中の安全を祈って別れ、無心でこぐ。途中、世界で一番長い地名と書かれた看板に出会った。目線の先の山がその長い名前らしい。説明によると、何かマオリの昔話の内容をそのまま地名にしてしまったというずぼらさだ。

 田舎というのはいいものである。大声で歌を歌っても周りに人がいないので、誰にも聞かれない。今日はアナ雪のスクリプトを最初から中盤あたりまで1人全役をこなしたが、途中からアホらしくなってやめた。天気は相変わらず曇り空で、時折雨がぱらつき、太陽は見えない。General StoreがあるというPongaroa(ポンガロア)に到着したのは16時過ぎ。遅出の結果まあまあいい時間である。今日からこの方式で行くことにしよう。晩飯はお気に入りのPam’sのMackerel Tomato Sauce(サバのトマトソース)。中ぐらいのサバがぶつ切りになって丸々入っているのだが、よく煮込んであって、骨まで食べられるところがいい。

 飯を食い終わって少し時間があったので、村を散歩する。Pongaroa Hotel(ポンガロア・ホテル)は白い洋風の2階建てで、夕方の薄暗い中に暖かい明りがともっている様子がとても趣があった。そこから少し離れたところの道端に、丸石を3つ重ねた何かのモニュメントを見つけた。説明文を読むと、この地が出身であるWilkins(ウィルキンス)という人のために建てられたものらしい。下の説明文には彼がX線でDNAの構造の研究をFranklin(フランクリン)という人と行っていたとあるが、ここら辺の話は高校の生物の授業で聞いたことがある(気がする)。

 その後は、Bushwalk(ブッシュウォーク)をとなりのトトロとフニクリフニクラを熱唱しながら歩き、テントに戻って寝た。

   走行距離: 68km  計: 1200km

 

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Pongaroa Hotel

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きれいな花が咲いた芝生にテントを張る

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Wilkins のモニュメント

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Bushwalk

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DAY 21「羊は面白くない」

3/13  DAY 21  from Waipukurau to Porangahau

 とうとう3週間が過ぎた。NZも季節が進み、朝はかなり冷え込むようになってきた。南に向かっているのもあるかもしれない。朝は少し遅めに起き、寒いのでテントの中で朝食を食べる。雨は昼前からの予報だったが、すでに少しぱらついている。最近ずっと雨続きで、Aucklandを出発してから1週間、ギンギラギンの太陽に焼かれていたのがウソのようだ。

 今日から、今までの道を少しそれて田舎道を走る予定なので、食料を確保しなければならない。NWで22ドル分の買い物をし、自転車に積み込む。フレームがしなるほどの重さを感じながら、こぎだす。今日の道は車がほとんど通らず平和な雰囲気が漂う。1度も危ない思いをすることなく、若干起伏のある道を進んでいく。両側の景色は相変わらず牧場(とかぼちゃ畑)だが、道端には色とりどりの花が咲き乱れ、モンシロチョウ(多分)が飛んでいる。そんな中を上機嫌で進み、あっという間に今日の目的地Porangahau(ポランガハウ)に到着。かなり小さな村で、店が一軒しかない。どこか泊る場所はないかと、橋の上で出会ったベビーカーを押したお父さんに聞いてみると、Porangahau Beach(ポランガハウ・ビーチ)を推されたが、その方向に向かう途中の村のはずれにいい公園を見つけたので、そこに泊ることにした。公園の隣は牧場になっていて、たくさんの羊がいる。今まで、彼らの横を通り過ぎるだけだったから、じっくり見ることもなかったので、この機会にしばらく観察することにした。が、彼らは草を食べるか、足を折って休んでいるだけで、観察対象としては何の面白みもなかった。公園のブランコで大人げなく思いっきりこいでみたり、遊具にぶら下がって懸垂をしたりしているうちに夕方になり、飯を食って寝た。一度、年配の女性がうちのキャラバンに泊りなよ、と誘ってくれたが、テントも張って寝る準備もできていたので、丁寧に断った。つくづく、この国の人達はいい人ばかりである。

   走行距離: 46km  計: 1132km

 

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羊さん

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DAY 20「フル単」

3/12  DAY 20  from Hastings to Waipukurau

 昨日はいつもなら寝ている時間まで活動していたので、今朝は6時半に目が覚めたがとても眠い。8時に朝飯を食べさせてくれるというので、それまで何も食べずに我慢しようとしたのだが、空腹に耐えきれずパンを1切れ食べた。それから荷物を片付けたりして時間を待ち、朝食。紅茶とシリアル、トーストを食べた。数種類のベリーが入ったジャムがとてもおいしかった。奥さんがお昼にと、バターパンや、チキン、カマンベールチーズ、ポテトチップス、Omega Plums、Golgen Queens(ゴールデンクイーン(黄桃))を2kgのTip Top(ティップ・トップ)のアイスクリームの青いケースを即席の弁当箱にして渡してくれた。

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奥さんが持たせてくれたお弁当

 そして、別れの時。僕が無事にChristchurchに到着できるようにみんなでお祈りをして出発。今日はWaipukurau(ワイプクラウ)までの50kmの平坦な道のりである。今日は日曜日でサンデードライバーが多く、路肩も気まぐれに狭くなったりしてかなり危険な道のりだったが、速いペースで6km手前のWaipawa(ワイパワ)に到着。公園で作ってもらったお弁当を食べ、もうひとこぎ。Waipukurauに到着してすぐに、教えてもらった川辺のHoliday Parkに行き、料金を訪ねてみると15ドルだという。高い。Tolaga Bayは2ドルだったぞ。ただ、今日は考えるのがめんどくさかったし、今日は金銭的にも余裕がありそうなので、入ることに。中ではWi-Fiがただで使えたので、インターネットに接続して諸々の作業をこなす。成績を見たが全体的に芳しくはないものの、フル単だったので良しとしよう。近くのNew Worldで320gが5ドルという格安のRamp Steak(ランプステーキ)肉を買い、キッチンで調理。一緒に炒めたSpring Onionがうまい。飯のあと、シャワーを浴びテントに入って寝た。

   走行距離: 47km 計: 1086km

 

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Waipawa にある地元の博物館

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肉がうまい

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DAY 19「2つのミッションと大きな出会い」

3/11  DAY 19  from Napier to Hastings

 明け方から雨が降り出し、しとしと降り続いている。ゴアテックスのレインコートで武装しているとはいえ、雨はやはり嫌いだ。テントの中で飯を食い、嫌々ながら準備をして出発。今日は小休止ということで隣町のHastings(ヘイスティングス)までの軽い道のりである。平野部なので道も平坦だし、昨日までの山岳コースに比べればなんてことはない。ただ一方で、こういった場所は農場ばかりで野宿できる場所がないのも事実。不安を胸にひたすら進む。あっという間にHastingsに到着。なかなかおしゃれな町である。町の真ん中を鉄道が走っており、アーケードには色とりどりの花が植わったプランターがぶら下がっている。今さらながら外国の町に来たという感じだ。

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Hastings の街並み(1)

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Hastings の街並み(2)

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Hastings の街並み(3)

 今日は進まない代わりに、2つのミッションがあった。1つは眼鏡を買うこと。2つ目はWi-Fiをゲットすることだ。とりあえずそこら辺のおっちゃんに眼鏡屋さんがあるか聞く。すると、この通りを真直ぐ行って4ブロック先の角にSpecsaver(スペックセイバー)という名の店があると教えてくれた。そこに行って、外から覗いてみると結構な値段であるが、100ドル以内のものもある。中のきれいなお姉さんに事情を説明し(爆笑していた)、眼鏡を買いたいが、そう長くは一か所にいられないと伝える。するとここで問題が起こった。医師の処方箋が必要だと言われたのだ。ちなみに日本では、子供は処方箋が必要だが、大人はその場で作ることができる。NZでは眼鏡を作るのに処方箋がいるのか?(50) そうなると余分な費用がかかることになるし、いくら取られるかもわからない。お姉さんは、とりあえずお医者さんに行って処方箋をもらってくるのよ、その後はあなたの行く先の店で受け取ることができるわ、と言ったが、僕はもうあきらめの方向に入っていた。やっぱりやめときます、と断り店を出て、残りの数10日間この眼鏡を守り抜くことを誓ったのだ。

 次のミッションはWi-Fiだ。Carl’s Jr(カールズジュニア)というファストフード店Wi-Fiを開店前から使い倒す。(ただし、後でちゃんとポテトを買ったことも付け加えておく)  Wi-Fiにつないでさまざまなタスクをこなすのだが、肝心の、3月になって発表された大学の成績を見るのを忘れていた。単位は回収できているだろうか、心配だ。まあ、いつ見ようとも結果は変わらないのでいいか。

 そんなこんなでミッションの達成度は2分の1に終わったが、これからHastings近郊で泊れるところを探す。が、ない。Paki Paki(パキパキ)という、町のはずれのところに来ても見つからない。これはまずいと、少し逆戻りになるが、Havelock North(ハブロックノース)の方向へ向かう。しかし、こちらも農場ばかりで望み薄だ。と、その中に1か所だけ、スポーツグラウンドのような施設を見つけた。私有地ではなさそうなので、入ってみると、なんとCampground(キャンプ場)と書いてあるではないか。これはついてると心が躍るが、どうも様子がおかしい。人がいないのだ。敷地内のガラス張りの建物に近づいてみると、Riverbend Bible Church(リバーベンド・バイブル・チャーチ)とある。とすると、ここは教会か。とりあえずトイレに行きたかったので、トイレを借りようと裏手の方に回ると、掃除をしている若い女性がいた。ここはキャンプ場なんですか、と尋ねると、そうだと言い、お金はいくらするのかと聞くとわからない、私はただ掃除をしているだけなのと言う。なんとも頼りない。

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Omega plum(オメガプラム) 酸味と甘味のバランスが良くプラム系の中で個人的に一番好きだった

 よくわからないが、とりあえずテントを干して他の人が来るのを教会の玄関で待った。すると、しばらくして、黄色いレインコートを着たやせ型のやさしそうなおじさんがやってきた。ここの施設はChurch Camp(チャーチキャンプ)と言って、学校などの団体が大人数で予約して利用するような場所だと説明してくれた。彼はその仕事に携わっているというが、そのような場所であるので、本来は個人で泊るということはできない。しかし、今回は特別に、また同じように他の人が入ってこないように外から見えないところにテントを張ってくれさえすれば、泊ってもいいと言ってくれた。そのほかにシャワーも使ってよいという。心からお礼を言った。

 それからしばらくして雨はやみ、青空が見え始めた。テントも寝袋もすっかり乾き、さっきまでの危機的状況は何だったのかというような平和な時間である。そして、夕方、そろそろ飯にしようかと思っていた時である。彼が敷地の中にある家に来て、お茶を一緒に飲まないか、と誘ってきた。こういう時に遠慮をしてはいけない。2つ返事で出向き、家に入ると、彼の友人が続々と集まってきた。お茶と聞いてきたが、がっつり夕食の準備がなされ、卓上には彼の奥さんの手料理がずらりと並んでいる。ずっとほぼ缶詰の食生活をしてきた僕にとっては、もうたまらない。遠慮という遠慮を捨て去り、ナイフとフォークという慣れない作法にも関わらず、次から次へとがっつく。チキン、ポテトサラダ、リーフサラダ、ハム、サラミ、ビーフハム、ジャガバター、そしてバターを塗ったパン。どれもおいしいという形容詞のほかに表現のしようがない。デザートにはアイスクリームとチョコレートプディング。冷たいアイスと熱々のプディングを混ぜ合わせて食べると、これがもうたまらない。久しぶりに満腹になったお腹をさすりながら、重ねて感謝申し上げる。

 食後、彼はHastingsの別の教会に行くという。せっかくの機会だからついていくかと聞かれ、これまためったにない機会とばかりにのこのことついていく。実は、教会などに行くのは初めてなので、漠然と厳かな儀式を想像していたのだが、実際は少しばかり異なっていた。(51) 男の人が前でギターを弾きながら、みんなで神をたたえる歌を歌い(確かHow Great Is Our God(ハウ・グレート・イズ・アワ・ゴッド))、牧師さんの話をみんなで頷きながら聞き入る。この集会を通して、彼らがいかに敬虔なキリスト教徒であるかを痛感した。

 集会が終わり、家に帰ると、時刻は夜の9時。あたりはすでに暗くなっていたが、家でお茶を飲み、クッキーをかじりながら、今後のルートを一緒に調べてくれた。そして、テントに戻るとき、明日の朝食もおいでという。もちろんと答え、おやすみの言葉を交わして別れた。

   走行距離: 33km 計: 1039km

 

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旅の間中ですっかり脂肪が落ちて引き締まった体。痩せたい人は自転車旅に出ることをお勧めする

脚注

#NZはイギリス系の英語であるので、日本でいわゆる標準とされているアメリカ英語と単語の使われ方が少し異なる。たとえばelevatorはliftというし、glassesはspectaclesという。

 

(50)メガネの買い方:これは後になって間違いと分かった。日本の眼鏡販売店と違ってその場では視力を測定できないため、医者に行く必要があったのだ。自分の眼鏡の度数は知っていたので、そのことを伝えればよかったのだが…

 

(51)キリスト教の集会:ただし、これはプロテスタント系の集会であるので、カトリック系や、他の宗派の集会についてはまた異なった形式かもしれない。

 

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DAY 18「海辺の町」

3/10  DAY 18  from Putorino to Napier

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どんよりと雲が垂れこめている

 朝6時に起床した。18日目。日数を数えると今日で折り返しである。今にも雨が降りだしそうな空だ。近所のおばちゃんがこの先の峠は1つだけと教えてくれたので気が楽である。途中でLake Tutira(トゥティラ湖)という、さほど大きくない湖があった。無風の湖面が鏡のようになり、向こう岸の山々をそっくりそのまま映し出していてきれいだった。Tutiraを過ぎてすぐ峠に入ったが、思ったより厳しくはなく難なくクリア。後は今日の目的地Napier(ネーピア)の平坦路をひたすら進むだけである。Bayview(ベイビュー)でスイカの看板に引き寄せられて果物屋さんに入ったが、少しスイカはでかすぎたのでYellow peach(黄桃)を購入。ほかにSpring Onion(ネギ)を買った。日本で見慣れない果物がたくさん売っていたので、1つ1つ試したかったが、あまりお金がないのでパス。今日の寝場所を探す。

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Lake Tutira

 Napierは海辺の大きな町だ。街並みが美しい。特に、海辺のウォーキングストリートは最近整備されたらしく、かなりいい感じである。ここに泊ることにしたが、人通りが多いので、テントは暗くなってから張ることにし、とりあえず昼寝。1時間ほどして目が覚めると、曇っていた空が一変して太陽が顔をのぞかせていた。これはラッキーとばかりにテントを広げて干す。テントが乾くまでしばらくのんびりした後、飯を食う。昨日、米を入れたクッカーの上にスープ用の水を入れたもう1つのクッカーを乗せてご飯を炊くと内圧が上がり、よりおいしく炊き上がることに気づいて、米がうまくなった。しかもスープも早くできるからまさに一石二鳥だ。お腹いっぱいにご飯を食べた後、浜を散歩して寝た。

   走行距離: 71km  計: 1006km

 

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Napier の海辺

 

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DAY 17「第6感」

3/9  DAY 17  from Wairoa to Putorino

 朝起きると外はすでに明るかった。7時の起床である。朝のテレビのニュースを見ながら朝食を食べ、だらだらと準備をする。昨日キッチンで出会ったお父さんによると、今日行く道は狭く危険らしい。しかも平行に走っている迂回路はないため、避けようがない。9時に出発。途中でオランダから来たという女性の自転車旅行者と出会った。彼女は僕のサイクリング&フィッシング完全装備状態がツボだったらしく、話している間中ずっと笑い転げていた。

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山道

 道は最初の数10kmは平坦で幅広なのだが、途中から山がちになって狭くなる。2、3度ひやりとする場面があったが、何とか40kmほどこぎ進み、山の中にある休憩所を見つけた。だが、ここはなんとなく虫が好かない。条件的にはばっちりなのだが、何とも言えない不吉な雰囲気を感じるというか、とにかく何かが違うのだ。僕の場合、こういった予感はだいたい当たるので、折角見つけた場所だったがもう少し進むことにした。さらに20km程こぎ、Putorino(プトリノ)のWaikare District’s Sports Center(ワイカレ地区スポーツセンター)の前の芝生を一晩借りることにした。テントを乾かして1時間ほど昼寝をし、荷物を整理していると、少し年配の自転車旅行者がやってきた。オランダから来たという彼は、近くにキャンプ場もないので隣にテントを張ってもいいかと聞くがもちろんOKだ。彼はSouth Islandを1周し、これからNorth Islandを回るという。彼の自転車はもう8年も使っている年季の入った代物だ。4万5千km走ったという。変速機構が特殊でディレイラー(48)がなく、スプロケット(49)からチェーンまですべてカバーで覆われている。なんとこれだけで1000€するらしい。僕の自転車が買えてしまう。

 晩飯を食べた後、彼といろんな話をして早めにテントに入って寝た。

   走行距離: 60km 計: 935km

 

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グランドでは羊が草を食んでいた

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テントが2つ

脚注

(48)ディレイラー:変速のためのチェーンのラインを定める部分

 

(49)スプロケット:後輪の歯車

 

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DAY 16「2週間ぶりの屋根の下」

3/8  DAY 16  from Wharareta to Wairoa

 今日から4日連続で雨らしい。昨日、テントに入ってからすぐ雨が降り出し、夜通し降り続いた。雨のことを念頭に入れてテントを張っていなかったため、しばらくすると浸水が始まり、このおかげで2日続けて眠れなかった。1時間眠っては起き、また1時間眠っては起きしているうちに朝になるが、雨の勢いは衰えない。しかし、食料は朝飯と過剰なリンゴ以外にないので、移動は必須である。レインウエアを着て、えいやっと覚悟を決めてテントを飛び出す。水遊びをしているのか区別がつかないほどの準備を済ませ、何とか出発。雨の日は見通しが悪いので、フロントライト、テールライトを点灯しての走行である。抜かしていく車の水飛沫が嫌悪感極まりない。(46) 走り始めてすぐ、寒さで手はかじかみ、おまけにトイレにも行きたくなる始末である。10数km先のMorere(モレレ)で、Hotsprings(温泉)を見つけたときには世界が輝いて見えたが、よく考えると時刻はまだ朝の8時。閉まっている。とりあえずトイレに行きたかったので、Hotspringsの向かいのカフェでトイレを借りる。すると、まだ開店前だがお店を開けてくれるという。暖かいミルクティーをすすり、Wi-Fiを使わせてもらって、インターネットでさまざまなタスクを片付ける。Christchurchへの海沿いの道の地震による通行止めは本当だった。(47) Nelson在住の自転車旅行者の彼に教えてもらった山の手の川沿いの道を行くだろう。少し遠回りに見えるが日程的には大丈夫そうだ。そうこうしているうちに2時間が過ぎ、びしょぬれだった体もすっかり乾いてしまった。同時に温泉に入りたい気持ちも飛んで行ってしまったようで、さらに料金が12ドルもすると聞いて完全に入る気はなくなった。

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どんより曇り空

ということで再び出発。雨はいささか小降りになり、止むこともあった。昨日、かぼちゃを買いに来ていた人が、もう一人自転車旅行者がこちらに向かっていると教えてくれたが、その彼と会ったのは正午ごろ。彼はスイスから来たという。Christchurchを出発して南島を周回し、これからAucklandに向かうという。僕と出発地と目的地が逆である。それならばとお互いが通ってきた道を教えあい、情報交換をする。

しばらく話をして彼と別れ、僕はWairoa(ワイロア)のCity Centreに入った。今日は、何もかもがびしょびしょなので、宿に泊まらざるを得ない。川の近くのRiverside(リバーサイド)という立地そのまんまの名前のモーターキャンプ場のBackpackersで25ドル払って泊ることにした。なんやかんやで出発してから初めて屋根の下で眠ることになる。相部屋の宿など初めてなのでかなり緊張したのだが、夕方になってもだれも来ず、僕は10畳以上もある部屋を独占することになった。とりあえずシャワーを浴び、テレビで全然ルールのわからないAustralian football(オーストラリアンフットボール)を見て、のんびり過ごした。晩飯には、近くのスーパーで肉を買ってきて、ステーキを食った。これがまた飛び切りうまかった。最近少しばかりお金を使いすぎているので、明日から節約しようと思う。

   走行距離: 59km 計: 875km

 

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Backpackers のお部屋(1)

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Backpackers のお部屋(2)

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久しぶりのまともな食卓



脚注

(46)雨の日の路面:stock truckが家畜の糞尿を道路脇に垂れ流すことは以前に述べたとおりであるが、雨天時ともなると、これと泥が入り混じった水飛沫を自ら巻き上げた分も含め、全身に被ることになる。

 

(47)道路交通情報:これらの道路交通情報は、New Zealand Transport Agency(ニュージーランド交通機関)のホームページで確認することができる。

 

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