べっさんのニュージーランド自転車旅行記

ニュージーランド走ってきました

DAY 15「黄色いのにオレンジ」

3/7  DAY 15  from Pouawa to Wharareta

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朝焼けが美しい

 昨日はよく眠れなかった。1つは波の音。砂浜に打ち寄せる波の音を聞きながら眠れるなんてロマンチックだなぁなどと言っている場合ではない。Aucklandを出てこの方ずっとPacific Coast(太平洋沿岸)を走ってきているのだが、波の音、それも砂浜の場合はえげつない騒音公害である。その決して静かとは言えない一昔前のブラウン管テレビがザーっと鳴るような音を一晩中聞かされるのである。もう1つはテントを張っていた横の道路の舗装が丁度はがされていたことである。そこを車が通ると砂利を踏む音がするのだ。車の音は夜になれば止むと思っていた。が、甘かった。logging truckは深夜でも走るのだ。しかも交通量の少ない夜間を狙ってか、列をなしてやってくる。

 というわけで、結局、昨夜の僕に安眠がもたらされることはなかった。しかし、相変わらず朝の空は美しい。きれいな朝焼けを拝んで、よく眠らなかったことも忘れ、気持ちよく出発する。ただ、朝飯をろくに食っていないので空腹である。すると30分ほど行ったところにtake away(持ち帰りの店)を発見。店の名前を見るのも忘れるほど夢中で飛び込む。フレンチフライを買い、外の机で食べて再び出発。途中、無人販売で、2ドルで袋いっぱいのリンゴを買ったがどう見ても10数個は入っている。とりあえず2個かじりつくがこれがまたおいしいのなんの。

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オットセイ…かな?

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ペンギン?ウミガラス

 そうこうしているうちに、Gisborne近郊までやってきたようで、一気に周りの景色が町らしくなってきた。Super Valueで20ドルの買い物をし、これは少しばかり買いすぎたと反省。そうそう、街に来たから洗濯をしなければならない。幸い、すぐにコインランドリーが見つかった。中に入ってみると、ドラム式の新式の洗濯機に洗剤が付いていて、しかも1ドル、2ドル硬貨がそのまま使える仕様である。やはり前のコインランドリーは旧式だったようだ。洗濯が終わるのを待ちながら、コインランドリーの床で筋トレをする。変態である。

 洗濯を終えて出発するとすぐにGisborneに入った。City Centreに行くかどうか迷ったが、特に用はないので海沿いの道に入り、かつて、この地を発見したCaptain James Cook(クック船長)の銅像と、彼の探検隊が初めて上陸したとされるYoung Nicks Head(ヤングニック岬)を拝んでGisborneを後にする。と、今日もまた失敗をした。水を補給するのをまた忘れていたのだ。2日連続で何たる失態。行けども行けども水はない。しかも55kmを過ぎたあたりで山道になり、これがまた長い。

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道端にあるスピードメーター。取り締まるより、こっちの方がドライバーに直接的でいいんじゃないか

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Captain James Cook

 ここで、この旅で間違いないく一番といえるような難所にさしかかった。new seal(新しい舗装)である。NZの舗装の仕方は日本とはかなり異なるようで、本当のところはどうかわからないが、見たところ、アスファルトと砂利を撒き、その上を車に通らせて踏み固めさせるというラフなスタイルのようだ。このとき、余計な砂利が路上に残るのだが、これがまた厄介である。通る車が砂利を弾き飛ばすのだ。しかも砂利にはアスファルトがべったりくっついていて、自転車のタイヤに、まるでフライの衣のようにまとわりつき、それはもう大変なことになる。坂道である上にこんな路面ではとても自転車に乗っていられないため、仕方なく自転車を降りて歩くが、当然靴の方にもアスファルトと砂利がくっついてくるのだ。そんな悪路をベタベタ一歩ずつ歩く。時折、通る車が砂利を弾き飛ばし、そむけた背中に容赦なく当たる。結構痛い。

ここから先の記憶は結構あいまいだが、さんざん英語で悪態をつきながらこの難所を抜け出したようで、気づけば峠の展望スポット的な所のベンチで力尽きていた。ここがなかなか良さそうなので、今夜はここに泊ることにした。さて、問題は水だ。運のいいことに、この展望スポットは車が入ってきやすい形になっている。最初に声をかけた青年は1Lほどの水をくれた。もう少し欲しいなと思い、今度は老夫婦にお願いしてみるとなんとペットボトル1.5Lをそのままくれたのだ。本当に感謝感謝である。すぐさま飯にして、お腹いっぱいになった腹をさすりながら、荷物の整理をしていると、バンに乗った女性が3つオレンジをくれた。それは黄色いオレンジだったがNZでは結構メジャーらしい。僕が黄色いのに、「オレンジ」なんやなあ、と冗談を言うと豪快に笑ってくれた。

次に一人の髪の長い男が声をかけてきた。互いに自己紹介をする。彼の奥さんは日本人だという。彼はその時は車に乗っていたが、自転車旅行が好きで、日本も九州から京都あたりまで旅をしたことがあるという。彼はウォッカのジュース割りを勧めてきたが、NZでは野外での飲酒は禁じられている。トロピカルジュースだけありがたくいただく。すると、また車が止まり、今度はアジア系の人が3人出てきた。その雰囲気からして、もしや日本人では、と思ったとき、彼がその3人にその質問をした。やはり、日本人だった。squash(かぼちゃ)(45)を買い付けに来ているらしい。この旅2回目の同郷の者との出会いである。実に2週間ぶりに日本語を話すが、ウォッカの彼とは英語で、片や日本人の3人とは日本語で話すので骨が折れる。別れ際、彼らはリンゴを山ほどくれた。朝大量購入したばかりなので、いささかタイミングが悪いが、折角の好意なのでありがたくいただく。そして、みんな別れの挨拶をし、僕は床に就く。いやいや、今日は山あり谷ありだなあ。

   走行距離:63km 計:816km

 

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黄色い「オレンジ」

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リンゴももらった

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峠の休憩所。ここでいろんな人に出会った

脚注

(45)squash:かぼちゃの英訳はpumpkin(パンプキン)だと思うだろうが、これはHalloween(ハロウィン)などでよく見かけるオレンジ色のかぼちゃのことを指し、緑色のかぼちゃは別にsquashと呼ぶ。

 

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